冬においしい魚は数あれど・・この魚は大きさもおいしさも、
そしてお値段も「キング」の名にふさわしいかもしれないですね。
刺身も最高だけども、なんといってもおいしいのは鍋!
脂乗りまくりのこの魚の鍋は、一度食べたら病みつきに。
・・という私はまだ食べたことないんですが(涙)
先日終わった大相撲九州場所でも、相撲部屋への献上品として
たくさんのこの魚が部屋に運ばれて、ちゃんこなべに
入れられたそうです。 あ~うまそう(じゅるる~)
さて、冬の味覚の王者にふさわしいその魚とは・・・
・・コイツでございます。

なんともグロテスクで巨大なその姿、
コヤツの名を「クエ」と申します。
そう言われたら、知っている人も多いと思いますが、
実はこの魚っていうのはこんな姿をしているんですね。
・・・あんまり美しい姿とは言えない、というか、
美味しそうには見えないんですけどね(苦笑)
クエっていうのは大きければ大きいほど脂が乗っていて
おいしい、と言う人もいるぐらいですが、
ホントに大きくなるんですよ。
国産の天然物でも50キロになるものもいるそうですし、
外国ものの養殖だと200キロとか300キロなんていう
怪物みたいなのもいるとかいないとか(滝汗)
ほとんどマグロと同じ大きさですよね。
値段も非常に高価で、市場で扱う魚の中でもトップクラス。
しかもその上に、コヤツはやたらとデカいので
キロあたりいくらの値段が付けられている市場では
一匹あたりのクエの値段はン十万円になるなんてのは
当たり前のこと。
一匹あたりの単価でいうと、間違いなく市場の魚では
トップクラスでしょう。
クエと張り合える魚といえば、とびきり上等の
本マグロぐらいでしょうね。
そんなクエの特徴っていうのはなんといっても、その身の脂の
乗りがすごいってことでしょうね。
この脂が甘くて美味しいその味の要因なのです。
今日、このクエが活きたままで徳島魚類に一匹やってきました。
うちのお客さんの会社の社長の注文とのことで、
できるだけ大きなクエを買ってこい、というのが
指示だったんだそうです。
件の九州場所で、多くのクエが消費されてしまって
実はこのクエを手に入れるのにも担当者はえらい大変だったそうで。
しかもベラボーなお値段が付いてましたが、社長直々の指令ってことで
特別に購入の許可が下りていたみたいです。
まぁ大きな会社の社長さんがそれだけのことをして食べたい味、
ということの証明でもあるってわけです。
そうして担当者が苦労して手に入れたクエは、威風堂々の28キロ。
リフトに乗せられてセリ場に入ってきた水槽の中で、
このデカいヤツは悠々と泳いでおりました。
このクエ、市場でシメてから持ち帰るということになっていたので
うちのマグロ担当がマグロをおろす大きなまな板の上で
シメることになったのですが・・・まずまな板の上に
引っ張り上げるのにひと苦労です(汗)
とりあえず水槽から出して、手カギでエラの上あたりをひと突き!
ぎぇ~っ! とばかりに暴れまくるクエを目の前にして
多くのギャラリーはまさしく逃げまどうばかりの状態に(爆)
ひとしきり暴れておとなしくなってから、まな板の上に乗せられ、
エラの内側にマグロ用の大きな包丁を突き刺して背骨を切断、
頭を取ろうとするのですが・・・百戦錬磨のマグロ頭領も
クエには苦戦の様子でした。。

なんせ背骨が太くて硬いため、なかなか背骨が切れないんだそうです。
シメたクエからは鮮血がしたたっていたのですが、
なんとまぁこのクエの血、脂が浮いてるんですよ(汗)
血にも脂が浮くほどにいいクエっていうのは脂が乗ってるんですね。
それから、今回はシメて頭を外すところで作業は終わったのですが
実際にクエをおろすとなると、これがまた大変なのです。
クエという魚、鱗の下に実はゴムのように伸び縮みする強くて
しなやかな皮が潜んでいるんです。
そのため、この皮をすいてやらないと、とてもじゃないけど
食べることができません。歯でかみ切れるような皮では
ないんだそうです。
なので、この巨大な魚体の全面を覆っている皮を全部包丁で
すいていかないとダメなんですね。。。
食べるのにもとても労力がいる魚、というわけです。
そこまでしても食べたいぐらいに美味しい魚、ってことですけどね。
う~ん、今年の冬こそ私も一度はクエ鍋、食べてみたいものです。
あ~ ハラ減った(泣)