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たった1割の「ホンモノ」
2006-10-14 Sat 15:11
先日、徳島魚類の特種コーナーに
とある塩干商品が入荷しました。

shishamo1.jpg


見ての通り、「シシャモ」ですよね(^^)
ししゃもなら、別に珍しくもなんともないじゃん、
と思われるかも知れないのですが、
このシシャモはちょっと特別なんですよ。

というか、このシシャモこそが「ホンモノ」
つまり「本当のシシャモ」なんです。

シシャモにホンモノとかニセモノとか
いったい何の話やねん! と思われますよね(苦笑)
確かにスーパーさんなどで、シシャモは普通に
売られているポピュラーな魚です。
私もシシャモは大好きで、お酒の肴というよりは
これに醤油とすだちをかけて、白いご飯(*^_^*)
っていうほうが好きなぐらいです。

でも、実はこの普通に売られているシシャモは
シシャモにあらず。
似て非なるその魚の正体はというと。。。

普通にシシャモとして売られている魚の本当の名前は
「キャペリン」といいます。
別名「樺太ししゃも」とも呼ばれますが、
実はシシャモの仲間ではなく、キュウリウオの一種で
シシャモとはまるで別の種類の魚だったりします。

シシャモという魚は一種類しかいなくて、
昔は普通に漁獲されていたらしいのですが、
最近はめっきりと漁獲が減ってしまい、
今では北海道など一部の地域でごく少量が
水揚げされているに過ぎません。

パッと見ると、このホンモノのシシャモも
普通に売られているシシャモ(キャペリン)も、
よく似ていますよね。
でも見比べると確かに違います。

店前で従業員とこのししゃもを見ながら
「なんかこのシシャモ、色がピンクやね」という
話題になったのですが、まさしくこの色が
ホンモノのシシャモの証。

shishamo2.jpg

キャペリンはもう少し青っぽい色をしていると思います。

そして、大きな違いは売られているキャペリンは
「子持ちシシャモ」ですよね。
つまり、メスしか売られていないんです。

でもホンモノのシシャモはオスとメスの両方、
つまり子持ちシシャモと子を持っていないシシャモの
両方が売られています。

キャペリンの場合、タマゴのプチプチとした食感が
おいしさの源になっているんでしょうね、
タマゴを持っていないオスのキャペリンは
商品としての販売価値がないんだそうです。

対してシシャモ。
こちらはオスでもしっかりとおいしいんです。
というか、身のおいしさという点では、
メスよりもオスのほうが上なんだとか。

なので、「オスのシシャモのほうが好き」
というツウな人もけっこういるんですよ(^^)

私も以前に入荷したときに一度買って帰って
食べたことがあったんですが、確かにこのシシャモ、
普段食べているシシャモ(キャペリン)とは
明らかに違う味ですね。
しっかりと焼き魚の味がするというか、
うま味が濃いような気がします。

しかし残念なことにこのシシャモ、
今では漁獲量が激減していて、なかなか
手に入らなくなってしまいました。

現在では、流通している「シシャモ」の
実に90%がキャペリンで、
本当のシシャモは1割しかないんだそうです。

というわけで、ホンモノのシシャモは
実に貴重な魚になってしまっています。
漁獲は北海道が中心なのですが、
中でも鵡川(むかわ)という川を遡上する
シシャモが一番有名だとのこと。

今回うちに入荷したのが、まさしくその
鵜川産のシシャモ、というわけです。

さすがに貴重なシシャモだけあって、
お値段もかなーり高め(^^;)
こんな高いシシャモなんて普通ありえない、
っていうお値段が付いておりました。。

それでもやはり、そこはサカナのプロが集う市場。
お客さんもしっかりとそのへんをかぎ分けます。
今回の入荷分、売れ残ったらまた買って帰ろうと
決めていたんですが・・・入荷したその日のウチに
すっかりと売り切れてしまいました(涙)

徳島魚類の歩くオサカナ博士、Hくんなんかは
「お! シシャモやん! 入荷したら納品して、って
言われているお客さんおるけん、喜ぶわ~」と、
箱を見るなりそそくさとお客さんの荷物のところまで
持って行ってました(^^;)
・・・さすがですな(笑)

このシシャモ、漁獲が限られているので、
資源を守るためにも漁期が厳しく設定されているそうで、
漁期はなんと10月~11月。実に短いんですよ。
ちょうど抱卵したシシャモが川を遡上する時期、
ということなんでしょうね。

もちろん今は冷凍技術があるので、それ以外の時期でも
冷凍品を入手することは可能ですが、
生のシシャモはこの時期にしか入手できない、
というわけです(^^;)

と、ホンモノのシシャモをここまでご紹介してきましたが、
それではキャペリンなんてニセモノかい、ホンモノには
所詮かなわない、っていうことかというとさにあらず。

キャペリンにはキャペリンで、しっかりおいしいですよね。
もちろん大量に漁獲されているからこそ、
シシャモの代用品として食べられるようになったんだとは
思いますが、単に代用品としてというだけなら、
いわゆる「シシャモ」市場の90%を占めるまでに
流通しないでしょうね。

やはり「おいしい」からこそ、ここまで皆さんに
受け入れられたんだろうし、売れるからこそ、
スーパーさんなどでも売るんですから(^^)

食べ比べると明らかに味は違うのですが、
シシャモにはシシャモの、キャペリンにはキャペリンの
おいしさがある、ってことですよね(^^)

冒頭に「私もシシャモは大好き」と書きましたが、
ここで書いているシシャモというのは、
もちろんキャペリンのこと。

そんな貴重なシシャモを年中ほいほいと
食べられないですしね(^^;)

仮に、キャペリンの漁獲が激減して、シシャモが
大量に穫れていたとしたら・・
きっとキャペリンが高値でシシャモが安い大衆魚、
というふうに立場逆転しちゃうんじゃないかな?(^^;)

まぁニンゲンさまっていうのは貴重なものには
高い価値を見いだすという生き物ですからね(苦笑)

というわけで、シシャモがえらくて
キャペリンがえらくない、というわけではないのですが、
シシャモと呼ばれている魚のホンモノっていうのは
意外と知られていない、ということをご紹介させていただいた、
という次第でございます。

あ~なんだかシシャモシシャモと書いていたら
無性にシシャモが食べたくなっちゃいました(汗)
今日は帰りにシシャモ・・・もとい、キャペリンを
買って帰って、新米で腹一杯ごはん食べようっと(^^)/

あ、もちろん、スダチも忘れずにね!
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