2009-02-13 Fri 17:04
2月も中旬ということになってくると、
暦の上ではもう春なんだそうで。 そういや昨日あたりは徳島県地方で今年初めての黄砂が 観測されたんだそうです。 いえね、私は全然気がつかなかったんですけども(^_^;) そして、天気予報によると明日は全国的に春一番が 吹き荒れるみたいですね。 すでに徳島中央市場でも南よりの風が吹き始めてまして、 市場の南に拡がっているネギ畑に撒かれる肥料の香りが(汗) この独特のニオイを感じると、春の到来を実感するのは 徳島の市場マンに特有の現象かも知れないです(笑) さて、そんな冬の終わりのこの時期に、セリ場にある商品が 並び始めました。 ![]() 画像を見ればすぐにお分かりいただけるとおり、 これはカキですね(^_^;) カキなんていうと、それこそ去年の秋からいろんな種類のカキが いっぱい市場には来ていますよね。 しかもこのカキ、冬の終盤に入荷したものとしてはかなり珍しく、 「加熱調理用」のカキなんです。 ![]() 決まり事があるわけではないんですが、カキの入荷というと、 通例としては秋口に初荷が届くんですけども、 このときにはこのような「カキのむき身パック」は加熱調理用の ものが入ってきて、それからしばらくして、入荷が安定しだすと 生食用のものが入荷してくるようになります。 スーパーさんなどの量販店、あるいは飲食店でもそうですが、 やはり人気のあるのは生食用なんですね(^_^;) ![]() こんなふうにパックにしっかりと「生食用」と表記されているものしか 生で食べることはできないんです。 生食用のカキであれば、生ではもちろん食べることができますし、 さらにカキフライなど加熱調理にも使えますが、 加熱調理用のカキパックだと、生食では食べることができません。 なので、用途が限られてしまうために「加熱調理用」は 人気は今ひとつ、というのが現状なんですね(^_^;) ではなぜこれがわざわざネタになるのかというと、これは・・・ 香川県産のカキ だということなんですね。 カキというと、徳島の市場ではやはり本場の広島、そして宮城や 岩手といった産地からのものがほとんどで、 それ以外の産地のものはほとんど見かけません。 一部には地物である鳴門産の殻つきカキも入荷していますが、 これが唯一の例外っていうぐらいでしょうか。 セリ場に並んだこの香川県産のカキを見て、お客さんたちも 「あれ?香川でもカキって採れるんやなぁ~」 という声があちこちから聞こえてきます。 まぁそれぐらいに徳島県ではあんまり香川県は カキの産地としては知られていないんですよね。 私もこのカキを初めて見たときには意外な感じがしたんですが、 でもよぉ~く考えてみたら、香川県の海岸沿いの国道を 走っていると、あちこちに「焼き牡蠣」というカンバンが 上がっているのをみたことがあることを思い出しました。 そうなんだぁ~ 香川って実はカキの産地なんだな、と。 そんなことを再認識したのでした(^_^;) この香川のカキが初めてセリ場に並んだ日、私は セリでこのカキは買いませんでした(汗) やはり、この時期になんで今さら加熱用のカキパックを? っていう意識が先行してしまったんです(苦笑) もちろん、セリ場でこのカキを見たお客さんも、 加熱調理用だということが分かると、これではなく、 並んでいるほかの生食用のカキを指定して「あっちを買ってくれ」 と注文も来ていましたし。。 ほかの仲買のセリ人さんたちも私と同じように考えていたようで かなりの安値でこの加熱調理用香川産カキは競り落とされました。。 翌日も、香川のカキはたくさんセリ場に並んでいました。 この日も私はこのカキを買うつもりはあまりなかったのですが、 あまりにセリ値が下がったので、思わず買ってしまいました(苦笑) 店前に並べてみたのですが、結局少し売れ残ってしまいました(>_<) ちょうどその日、若い魚類マンたちが家に集まって鍋パーティーをする、 というような話をしているのが聞こえてきました。 そこで、売れ残っていたこの香川産のカキが安いから、 これでカキ鍋でもしたらどうや? と言って、魚類マンたちに このカキを売ったのです(苦笑) その夜のことでした・・・。突然に私のケータイに魚類マンから 電話がかかってきました。 何かと思ったら・・・ あのカキ、めっちゃウマいですよ! ビックリです! という驚きの報告だったのです。 彼らが言うには、この香川産のカキ、とにかく粒が大きくて、 しかも加熱調理しても縮んだりせずにふっくらとジューシーで 旨味が強くて申し分のない味がするんだというのです。 彼らが買って帰ったのは業務用とでもいうべき、 1キロ入りの大きなチューブ。 1キロのカキといったらかなりの量です(汗) でもこの大量のカキを、なんと5人で囲んだカキ鍋で ぺろっと全部食べてしまったって言うんですよ(爆) なんと! まったく注目していなかったこのカキ、 思わぬ伏兵だったというわけです(^^)/ なにがどう違うのかは分かりませんが、とにかくウマい! これはお客さんにオススメするしかないじゃないですか(^^) 事前にお客さんにこのことを説明し、「じゃ試しに買ってみようか」 という注文を取って、セリ買いしてお客さんに渡しました。。 翌日に聞いてみると・・・やっぱりこのカキを食べた魚類マンたちと 同じコトを言うんです! 「このカキはかなりウマい」と。 当然ですが、私も買って帰って食べてみましたよ(*^_^*) 我が家では子供達もいますので、カキフライにしてみました。 ![]() 確かにみんなが言うように、かなり大粒でこうしてフライにしても まったく縮みません。 質の良くないカキとかだと、パックの中に入ってるときには 大きそうに見えても、加熱するとちゅるる~っと縮んでしまって 見るも無惨、食べても哀しい結果になることがあるんですが、 この香川産のカキはそんなことがまったくなく、 フライが揚がってもその大きさは変わることなく、 実に立派な威容をたたえております(^^) ![]() 食べてみると・・・ウマい!(*^_^*) 確かにこれは美味しいです! ほんとにビックリですよ♪ そもそも加熱用と生食用、その違いというのは滅菌工程にある、 というお話はずっと以前にこのBlogでも取り上げたことがありますが、 決して生食用が鮮度がよいとか高級というわけではなく、 生食用のカキは入念に滅菌処理を行い、含有される菌数を 極力減らすように処理されるのに対し、加熱調理用のカキは 滅菌処理を生食用ほど厳しくしていないものなのです。 加熱することで菌が死ぬので、そこまで強い滅菌処理を していない、ということなのです。 この処理はおもに滅菌処理された海水の中で一定時間カキを 浸けておくことで行われるんだそうですが、 この滅菌工程で、いわゆる「カキ本来の旨味」も 少なからず抜けてしまうんですね。 なので、カキの旨味成分としては生食用よりも加熱調理用のほうが たくさん含まれているので、加熱調理をして食べることが 分かっているのなら、生食用を転用するのではなく、 加熱調理用のカキを使った方がおいしいんですね。 しかし、そのことを別としてもこのカキはウマすぎます。 今まで香川産のカキっていうのを食べたことはなかったのですが まさかお隣の県にこんなにおいしいカキがあったなんて。。。 まさしく目から鱗ですね(^^) また同時に、「生食のほうが売れるから」というだけではない、 カキの奥深さを再確認しましたよ。 やっぱり市場マンたるもの、先入観だけで魚を買ってはいかんのだと そういうことですよね。 さてさてその後、この香川産のカキはどうなったのかというと。。。 このカキを試しに買って帰ったお客さんは。。。 ほぼ100%リピートオーダーを下さいます(*^_^*) じっさい、お店でこのカキを買って帰ったお客さんは 次もこのカキを手に取るんだそうですよ! そして・・・これはかなりイレギュラーな現象なのですが、 通常スーパーでは売れないとされているような大きなパック、 そうです、魚類マンが買って帰った1キロ入りの大袋でも そこそこ売れる、っていう事実。 普通はスーパーさんなどの量販店でカキというと、100gから200g ぐらい入った小さめのパックが売れセンなのです。 ![]() もちろん、この香川産のカキにも200gパックというのがあります。 でも、この200gパックだけでなく、もうひとつの規格、 1キロ入りの大袋もけっこう売れるというんです。 もちろん、これはセリ値が生食用の大袋のカキよりもかなり リーズナブルだということもあると思いますが、決して「安かろう悪かろう」 ではないその品質に、スーパーで買い物をする一般消費者の みなさんも敏感に感じ取っている、っていうことなんでしょうね(^^) そんなわけで、出始めには激安だけがウリだったこのカキは 少し相場価格が上昇し、その価格でほぼ安定して取引されています。 出始めの新製品の時に値段が安く買い叩かれてたものが その後の評判で徐々にセリ値が上がるっていうのは けっこう珍しい現象ですね。 もちろんこれは徳島魚類だけじゃなく、同じセリに参加している 他の仲買さんのところでも同じように、このカキの評判が いいからこその現象でしょうね(^o^) ネットで調べてみたところ、やはり香川県では昔から カキの養殖が盛んで、地元ではすっかりと定着していて、 海沿いには焼き牡蠣を出すお店がたくさんあるんだそうですね。 ただ残念なことに、そのことは香川県内では常識でも 他の県にはあんまり知られていないのが現状なんだそうです。 そうでしょうね、お隣の徳島県の市場マンですら、 知らない人が多いんですから(^_^;) それと、理由までは分からなかったんですが、 香川県で水揚げされるカキは全て加熱調理用としての 利用が前提であり、生食用のものはないんだそうです。 なるほど、それで徳島に入ってきている剥きカキのパックも 全部加熱調理用なんですね。 でも、この香川産カキの登場で「香川のカキ恐るべし!」 という実績ができたように思います。 ある程度これで取引価格も安定して、継続してこのおいしいカキが 安定して徳島に入荷してきてくれるとうれしいですね(^o^) スポンサーサイト
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