秋もいよいよ本番。
中秋の名月、みなさんはご覧になりましたか?
私は市場への出勤のときに空を見上げて、
ひとしきり眺めてみましたよ(^^)
今の季節って、朝晩とお昼の気温差がほんとに
大きいですよね。なので着ていくものに悩みます(^^;)
朝はだいたい長袖のジャンパー、
配達に出るときにはTシャツ。。なんともはや(苦笑)
さて、これまでにも秋から冬にかけて登場してくる
旬の魚たちをいろいろと紹介してきましたが、
今日ご紹介するのはこちら。

はい、みなさんご存じのアジですよね。
アジの中でも「マルアジ」という種類のアジです。
ええ~? マルアジぃ? っていう人は
けっこうオサカナに詳しいですね(^^)
そうなんですよね、アジといえば普通は
「ヒラアジ」のほうがおいしい、とされています。
実際、ヒラアジのほうがセリでも値段は高いですし、
一年を通じてヒラアジはだいたいある程度の
セリ値は維持しています。
アジには大きさ別に「大アジ」「小アジ」「豆あじ」
さらに小さな「仁丹アジ」なんてのもいますが、
どれもヒラアジ。
マルアジっていうのはどちらかというとヒラアジの
陰に隠れた「安いアジ」という印象があります。
ですから、「ええ? マルアジぃ?」と思われた方は
アジについての知識が豊富ですね、と言えるわけです。
でもね、この日陰もののマルアジくんが
一年にたった一ヶ月だけ、光り輝くときがあるんですよ(^^)
それがちょうど今頃なんです。
10月~11月頃の約一ヶ月間だけ、マルアジは
全身に脂が乗り、とーってもおいしくなります(*^_^*)
そらもうね、ヒラアジを食べ慣れている人でも
「えっ!? これがマルアジなの??」というぐらい。
しかも、特に脂のノリがいいのは鳴門から淡路島にかけての
とっても限られた海域だけなんですよ。
この海域で、この時期に水揚げされたマルアジだけが
抜群の脂乗りになるらしいのです。
もちろんこの時期にはヒラアジにも脂が乗ってくるので
ヒラアジもおいしくなるのですが、それにしても
このマルアジの豹変ぶりにはかないません(^^;)
ま、もともとヒラアジは平均して美味しいですからね。
実は私、市場に入るまではマルアジとヒラアジの2種類の
アジがいるなんてことすら知りませんでした(滝汗)
で、その2種類のアジがいるってことが分かったあとも、
セリ場に並んでいるアジを見て、どれがマルアジで
どれがヒラアジなのか、恥ずかしい話ですが
なかなか区別できなかったんです(^^;)
マルアジとヒラアジ、名は体を表すといいますが、
まさしくその通りで、マルアジは体つきが全体的に
丸くて、ヒラアジは上下に平べったいカタチをしています。
もちろん今では区別はできるようになったんですが
それでもこの季節のマルアジはやたらと肥えていて
ヒラアジと一瞬分からないような体型をしたものも
中にはいるほどなんですよ(汗)
写真のマルアジは今日セリ場に出ていたマルアジ。
一匹ずつ活き〆にされた鳴門産のもので、
鮮度は抜群です。
まだ硬直していないので手で持ち上げると
ぐにぐにと体が曲がるんですよね。
こういう状態を市場では「いかっている」といいます。
この「いかった」状態から死後硬直して
カチンとなった状態を「しまる」とか「あがる」とか
言うんですね。
ということでこのバリバリに「いかった」マルアジ、
刺身で食べるとサイコーです(*^_^*)
もちろん焼いてもOKですよん。
この時期のマルアジについては、あるエピソードがあります。
数年前ですが、大阪のとあるお店に徳島魚類から
マルアジを持っていったことがあるんです。
その時、そのお店に来られていた大阪のお客さんが
鳴門産のマルアジを見て
「おいおいあんさん、わざわざ徳島からマルアジなんぞ
持ってきたんかいな。遠いところ来てるんやさかい
もちっとええもん持ってきたらどやねん!」
とりあえず魚類マンの某氏、カチンときたそうです(^^;)
で、ひとことこう言ったそうな。
「お客さん、とりあえず食べて見てくださいよ」と。
ちょうどお店ではあまりなじみのない(というか評価されてない)
マルアジを試食してもらおうと何匹かを焼いていたんです。
「おう、そこまで言うなら食うてみよか」と、
ひとくち食べたナニワの魚屋さん・・・顔色が変わったそうです。
「にーちゃん、悪かった。これうまいわ! 3バイ買うてくわ(^^)」
というハッピーエンドになったそうな(笑)
とまぁそんな具合に一般的には「ヒラアジにかなわない」とされる
マルアジですが、この時期、鳴門筋で穫れるマルアジだけは
別格、というわけなのですよ(^^)/
この時期のマルアジの味を知っている人はもちろん市場には
たくさんいますから、当然ほかのシーズンよりも
活き〆マルアジの値段は上がってしまいますが、それでも
ヒラアジの半値ぐらいで競り落とされています。
とってもコストパフォーマンスの高い、おいしい旬の魚なのです。
なんせ地域限定、季節限定のアジですから、
なかなか徳島以外には出回らないのが残念ですが、
徳島にお住まいだというアナタ! さっそくスーパーや
魚屋さんに行ってみましょう(^^)/
運良く「徳島産 活き〆丸あじ」と書かれた魚を発見できれば
ラッキーですよ(*^_^*)
ほかにも居酒屋さんや定食屋さんなんかでも
お目にかかれるかも知れないですね。
私もこの季節のマルアジはとっても楽しみにしてるんです。
思い起こせば2年前・・・
半信半疑で食べた秋のマルアジの刺身・・。
ほんとに驚きでしたね~ アジの刺身がこんなにも
甘く、まったりとうまいなんて!! しかも安いし!!
衝撃的な出会いでしたね(^^)
みなさんにもぜひ、マルアジの底力を知ってもらいたいものです。
どうぞ秋のマルアジ、お試しあれ!
早くしないと旬が終わってしまいますよ~ (^_-)
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